日産、三菱自動車に出資 実質傘下に  世界に120万台生産工場

不正燃費データ問題の三菱自動車に対し、日産自動車が約3割、約2000億円を出資する方向で調整に入ったことが11日明らかになったと報道されている。12日にも記者発表される予定。

三菱自動車は事実上、日産の傘下に入って、経営再建を目指すことになる。
 三菱自動車の不祥事をきっかけに自動車業界の大型再編に発展する可能性が出てきた。
 三菱自は、燃費不正問題で顧客へのガソリン代やエコカー減税などの補償が必要となっている。
今回の燃費データ不正は、軽自動車「eKワゴン」「デイズ」(派生含め軽4車種合計62万5000台)だけではなく、普通車の『i-MiEV』『ミニキャブ MiEV』『ミニキャブ MiEVトラック』『ミラージュ』『RVR』『アウトランダー』『アウトランダーPHEV』『パジェロ』『デリカD:5』など9車種も机上データで申請していた疑いがもたれ、三菱自動車は調査に入っている。
三菱自動車は、信用失墜による販売不振、補償問題など問題は山積されている。
<三菱グループの支援の可能性は>
筆頭株主の三菱重工(12.63%)もまたかぁと呆れ果て、自らも客船建造失敗から巨額部門赤字を露呈、最終利益は黒字だったものの、三菱重工にしてみても余裕はない。
第2位の大株主の三菱商事(10.06%)にしても資源投資失敗から16年3月期は巨額最終赤字を出している。
三菱自動車は、多くの死傷者を出した2000年に発覚したリコール隠蔽問題、その後もリコール隠しなど不祥事を重ね、やっと少し立ち直ってきた三菱自動車にとって、今回は再び企業イメージが急激に悪化。販売が大幅に落ち込んでおり、経営への打撃は計り知れないものになっている。
三菱自と日産自は2011年、折半出資で軽自動車の共同企画会社を設立。三菱自が生産したデイズなどの軽自動車を日産自に供給している関係にある。
日産が、資本業務提携、実質傘下におさめるならば、三菱グループも日産支援という柱ができ、日産自・三菱自に協力していくものと見られる。
<日産、世界120万台生産工場傘下に>
日産にとって、120万台生産する三菱自の世界工場を傘下にすることは非常に魅力的なことだろう。また、三菱グループには、三菱重工、三菱商事、三菱電機などグループでは原子力発電機から飛行機・潜水艦・戦車・各種エンジンまで製造しており、グループと協力関係を持つことで日産は、技術的にも優位に機能させることができる。
日産にしても三菱自を傘下にすれば、一挙に100万台の販売増となり、ルノーにしても大喜びしていることだろう。(三菱自動車は)

※スマホ横持推奨

2015年の三菱自動車の全生産と国内販売
1月~12月
台数
前年比
国内生産
635,441
-0.9%
海外生産
583,412
-6.1%
生産合計
1,218,853
-3.4%
 
 
 
国内販売普通車
40,539
-9.3%
国内販売軽自動車
61,471
-23.5%
国内販売合計
102,010
-18.4%
販売は自社ブランドのみ。出典:三菱自動のリリース
 
<国外販売台数試算>90万台以上が海外販売
2015年の日産デイズ販売台数:150,696台、三菱ブランド軽61,471台、
生産台数1,218千台-国内販売102千台-日産向けOEM供給150千台=おおよそ96万台が世界中で販売されていることになる。(日産の食指はそこに・・・)
 
<業績推移>
16/3期では、今回の燃費不正データ問題の補償金などまだ解明すべき事項も多く、特損計上および引当金などは計上されていない。

※スマホ横持推奨

連結/百万円
売上高
営業利益
営率
経常利益
株主利益
13/3
1,815,113
67,382
3.7%
93,903
37,978
14/3
2,093,409
123,434
5.9%
129,472
104,664
15/3
2,180,728
135,913
6.2%
151,616
118,170
16/3
2,267,849
138,377
6.1%
141,027
89,094
16/15
4.0%
1.8%
 
-7.0%
-24.6%
17/3期予想
不正燃費問題により未公表
16年3月期
総資産
純資産
自己資本
自資本率
 
1,433,725
701,856
687,666
48.0%
 

あわせて読みたい