ドイツ車勢 韓国自動車市場も猛攻  江南スタイルVWバカ売れ FTAのしっぺ返し

韓国自動車市場では、かつて不動の地位にあった現代自動車や起亜自動車他の国内メーカーがドイツの高級車ブランドに押され、24年ぶりに欧州からの自動車輸入が輸出を上回る見通しとなった。
背景には、2011年に発効した韓国・欧州間の自由貿易協定(FTA)や、愛国心の強さから輸入車が破壊の標的となっていた国内市場で、世界進出を果たしたK-POPPの副作用で好みが変わったことなどがある。特に富裕層の多いソウル江南地区で顕著となっている。

韓国で販売された自動車のうち輸入の割合は10年前には3%だったが、現在は過去最高の14%。BMWやダイムラーのメルセデスベンツなど高級車ブランドがけん引し、ドイツ製自動車は今年、国内で売られた外国製自動車の71%を占めている。
韓国税関当局のデータによると、1~9月の欧州からの自動車輸入は60%増の46億ドルで、欧州への輸出の44億ドルを上回っている。

自動車輸入業者協会の当局者、Yoon Dae-sung氏は「輸入車をけん引しているのはディーゼルエンジン車や30代の顧客、高級車ブランドだ」と指摘した。

ただ、韓国は先週、中国とFTA締結で実質合意したが、自動車は除外された。これにより、当面のところは中国で製造されたドイツブランド車の流入は阻止されることとなり、韓国市場で大きなシェアを握る国内メーカーの地位は維持される見通し。

<江南スタイル>
ソウルの江南地区は富裕層が多く、輸入車が人気化し、VWのディーラー店舗では販売する車が不足しているという。
同店舗のディーラー、Kim Young-chun氏は「人気の高いティグアンのホワイトバージョンはもう注文を受け付けていない。当店だけで約70─80%の注文をすでに確保した」と話す。
現代自動車や起亜自動車、双竜自動車などの国内メーカーは、愛国的な顧客からの需要に加え、かつては50%の輸入関税によって保護されていた。
しかし、貿易協定の締結によって韓国は、大型車から小型車に事業を拡大させる海外ブランドの標的となり、現代自動車と起亜自動車が保持する70%近い市場シェアが一段と脅かされている。
BMWは8月、アジア初の試乗センターを仁川に開設。顧客は「BMW」や「ミニ」を試乗できる。
また、米国から韓国に「カムリ」を輸出しているトヨタは先月、「レクサス」を展示するカフェをソウルにオープンした。
1~10月の韓国での外国製自動車販売は33%増加した。一方、現代自動車の販売は3%増にとどまった。しかし、現代自動車も反撃に出ている。同社は先月、主に国内の消費者をターゲットにした高級セダン「アスラン」を発表。最近では江南区に旗艦店をオープンしたほか、ディーゼル車やハイブリッド車にも力を入れている。
以上、ロイター参照

韓国車のカーデザインは、独車勢からデザイナーを引っこ抜いたりしており遜色ないが、技術力・品質力は、どう見ても劣ってしまう。特に燃費については、韓国勢は独車についていけない。また富裕層のハイエンド車両は独車の一人勝ちだろう。
2011年7月欧州とのFTA(自由貿易協定、自動車関税率が双方とも大幅に下がった)締結で韓国勢は喜び勇んだが、欧州経済が沈没しては小型車にシフトしている欧州勢にはかなわない。
また、FTA締結の欧州勢は欧州経済の低迷から、FTA先の韓国は、ウォン高・ユーロ安も加わり欧州勢の輸出ターゲットになっている。自動車もその一環だ。

韓国とEU28ヶ国との貿易収支
億ドル
輸出
輸入
貿易収支
 
2010年
 
 
147
 
2011年
 
 
83
2011年7月FTA締結
2012年
49,421
50,395
-974
 
2013年
48,857
56,230
-7,373
 

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