ホンダ中国 3.5Lのジレンマ 中国紙皮肉る

0610_02中国の新聞サーチナは、ホンダの3.5L戦略について、何かおかしいのではと次のとおり記載している。今のホンダを象徴しているようで取り上げてみた。
広汽ホンダは、高級車の成功を急いでいるが、3.5L版アコードクロスツアーが現在、3.5L版アコードと3.5L版スピリアの二の舞を演じている。
3.5L版アコードクロスツアーの月間販売台数は、発売開始より減少を続けている。中国で生産されている自動車は通常、2.4L前後が最大排気量となっているが、3.5Lは鬼門になっている。
中国では、大気汚染対策などから排気量の多い車種に対する各種税目が増加を続ける中、自動車メーカーは大排気量の車種を慎重に選択している。

◆3.5L版アコードクロスツアーが惨敗
データによると、2012年の3.5L版アコードクロスツアーの販売台数は、293台のみとなった。2.4Lを含めたアコードクロスツアーは、今年1~4月に1万4,524台販売したが、3.55L版は15台しか売れなかった。
アコードクロスツアーは、ホンダがアコードをベースに開発した派生セダンで、広汽ホンダの旗艦車種として位置付けられている。
アコードクロスツアーは2010年に中国で発売され、当時は大排気量の3.5L版しかなく、発売後のブランドイメージ樹立を目指していた。
3.5L版の発売から約1年後、広汽ホンダは、2012年4月に2.4L版アコードクロスツアーを発売した。2.4L版はこれまでの劣勢を覆し、発売当月の販売台数は3月の155台から4637台に増加した。
これらのデータを見ると、排気量の選択は工場のエンジンの種類に基づくだけでなく、一種の戦略であると認めざるをえない。アコードクロスツアーは排気量を引き下げていなければ、徹底的な失敗に終わっていたかもしれない。

◆再び高級路線へ
しかし広汽ホンダは依然として、3.5L版の販売回復を狙っている。
3.5L版アコードクロスツアーは、ホンダにとって3回目の高級路線邁進、広汽ホンダにとって2回目のブランド限界突破の取り組み。
ホンダはそれまで、広汽ホンダで3.5L版アコード、東風ホンダで3.5L版スピリアを発売し、ドイツ製の高級大排気量車に向けられた中国人消費者の視線を引きつけようとした。
しかし、この2車種は、消費者から認められなかった。
データによると、この2年間の3.5L版アコードの販売台数は、いずれも一桁台となった(2011年は1台、2012年は2台、2013年1~4月は0台)。
スピリアの販売は、アコードを上回っているが、消費者から真の意味で認められたわけではない。2.4L含むスピリアの2011年の販売台数は1万7,376台、2012年は1万2,417台で、値下げ幅は2万元(約32万円)以上で長期間安定している。

ホンダでは、今後3.5L版アコードクロスツアーを大々的にPRし、ブランドイメージを再構築し、販売台数を増加させるとしているという。
以上。サーチナ・国際金融報など

ホンダは、中国への本格展開は、ほかの日本勢に比し早かったが、米国集中で生かしきれず、ブランドイメージもドイツ車の後塵に甘んじたままである。
中国人は、日本人同様、金持ちはベンツやBMWに乗り、また大型のアメ車で金持ちぶりをアピールしている。日本車は米国では大衆車の位置づけであり、そのブランドイメージを払拭させるため、トヨタではレクサスを登場させている。中国女性も日本女性同様ブランドもののバッグを買い漁るほどブランド品が大好きな国である。大衆車が主流のホンダであり、高級車のブランドイメージを植えつけることはたやすいことではない。

しかも、中国経済は大きな曲がり角に来ており、経済に応じたニーズ、および大気汚染などから国の政策も大排気量車を忌避する動きを採っており、大排気量市場は急速に縮小してきている。
ホンダは、その地・その時々に見合った戦略が必要ではないのだろうか。チョイ乗り用にNシリーズを中国生産投入したらいかがだろうか、面白いと思うが・・・・。

5月の中国での日本の自動車主要3メーカーの販売台数は、反日不買の動きも薄らぎ、暴動後、始めて揃って前年同月比増加した。昨年9月反日暴動が発生、不買運動が展開され、日本勢は底なしに影響してきていた。しかし、中国の大気汚染2.5問題で一番売れた空気清浄機は、中国では価格もスバ抜けて高い日本のダイキン・シャープ・パナソニック製品であった。

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