現代自動車の欠陥隠蔽に鉄槌 強制リコール命令 捜査も その影響

国土交通部のリコール勧告に従わなかった現代・起亜自動車に対し、結局、強制リコール命令が下された。
韓国で自動車メーカーの自発的リコールではなく行政命令による強制リコールが実施されるのは今回が初めて。
これに先立ってシーター2エンジンを装着した車両17万台のリコールに続き、今回、24万台のリコールが加わって現代・起亜自動車は品質管理と企業の信頼度に大きな打撃を受けることになった。

国土部は12日、現代・起亜自動車に対して、発見された製作欠陥5件に対してリコール処分を通知した。
対象車両は12車種、24万台と推定されている。
車種別の欠陥は、
1、アバンテ(MD)・i30(GD)が、真空パイプ損傷、
2、モハーベ(HM)が、ハブナット緩み発生、
3、ジェネシス(BH)・エクース(VI)、がキャニスタ通気抵抗過多、
4、ソナタ(LF)・ソナタハイブリッド・ジェネシス(DH)が、駐車ブレーキ作動など不点灯、
5、ソレント(XM)・5、トゥサン(LM)・サンタフェ(CM)・スポーティジ(SL)・カーニバル(VQ)が、R-エンジン燃料ホース損傷。

現代自は、通知を受けた日から25日以内に国土部に対し欠陥是正計画書(リコール計画)を提出し、30日以内に新聞広告と車両の所有者に郵便で通知しなければならない。
これに伴い、実際のリコールは来月(6月)中旬から始まるものと見られる。

国土部の措置は史上初の「リコール聴聞」を経た。昨年、現代自の内部情報提供者(キム・グァンホ現代自動車品質管理部門の部長)が申告した32件の車両欠陥を調査した国土部は、4月一部事案について、現代・起亜自に自発的リコールを勧告した。

だが、会社側は5件の欠陥に対して「安全運行に支障を与える欠陥ではない」として異議を提起し、国土部は会社側の疎明を聴いた後に「リコール処分が妥当だ」という結論を下した。

現代・起亜自動車は、国土部の発表直後にリコール決定を受け入れると明らかにした。
会社側は「リコール勧告された5件は、すべて安全運行に支障を与える欠陥ではないことを説明したが、国土部はこれまでのリコール事例と消費者保護を勘案してリコール処分が妥当だとの結論を下した」として「これに対し顧客の観点で考え、また国土部の立場を尊重して、リコール決定を謙虚に受け入れ、顧客のための措置に万全をつくす」と明らかにした。
しかし、内部告発に触発された強制リコール命令と欠陥隠蔽疑惑に対する検察当局への捜査依頼で、現代・起亜自動車の品質信頼度と対外イメージ失墜は避けられないものと見られる。

これまでも品質論議に対処する現代・起亜自動車の消極的な姿勢は議論されていた。
これまで現代・起亜自動車は、車両欠陥疑惑が提起されるたびに、事実関係を知らせ積極的にリコールに乗り出すのではなく、自主是正措置と釈明に終わる場合が多かったという指摘を受けてきた。
国土部が今回の事案に断固として対応したことは、韓国の代表メーカーの慣行にブレーキをかける措置になると思われる。

国土部はこの日(5月12日)、現代・起亜自動車に是正命令を下し、欠陥隠蔽の可能性が排除できないとみて検察に捜査を依頼した。

また、今回の強制リコール5件と、すでにリコール計画が提出された3件を除く24件に対する処理方向も発表した。
アバンテのフロントコイルスプリング損傷など9件は、公開無償修理をするよう勧告し、
ジェネシスのECU不良など3件は追加調査を、
ソナタのドアラッチなど12件は持続監視計画を明らかにした。

国土部のチョ・ムヨン自動車政策課長は「車両欠陥を隠したという事実は確認できなかったが、疑うに足る情況はある」として「消費者の安全を軽視しリコールに消極的な企業の態度に警鐘を鳴らす次元で捜査を依頼した」と話した。
以上、

2016年10月17日報道
現代・起亜自動車が、車両の欠陥とその隠蔽疑惑を提起してきた現代自動車所属K部長(54)を相手に「秘密情報公開禁止」の仮処分申請を裁判所に出し、K氏を秘密漏洩などの理由で懲戒することにした。
K氏は「公益情報の提供について焦点をそらすための攻撃」と反論した。

現代・起亜自動車は最近、ソウル中央地裁に提出した仮処分申請書で「K氏が流出させた品質関連資料は初期検討資料であり、その内容は不正確だが設計から製造工程に至る会社の技術情報が加工されずに含まれている。これは現代・起亜自動車だけのノウハウであり、秘密資料に該当する」と主張したことが確認された。

これに先立って、K氏は、現代・起亜自動車が車両の欠陥を知っていながらリコールしなかったり、欠陥事実を隠していると一部メディアに情報提供した。現代自動車で25年間勤務してきたK氏は、昨年2月から9月まで品質戦略チームで働いていた。

彼の情報提供内容は大きく分けて3点に要約される。
第1、シーター2エンジンから騒音が出て損傷程度が激しく、米国ではリコールしたのに韓国では回避しているという。
第2、ソレントRのエアーバックが機能しない可能性が高いのに欠陥の事実を隠したという。
3、アバンテと同部品を使うi30のエアーバックが、制御ユニット(ACU)の欠陥で正常に作動しない可能性
があるにもかかわらずリコールしなかった。

K氏は「現代自が安全関連欠陥を認知しても、リコールせずに任意に判断し処理することが慣行のように固まってきた。誤った慣行を正さなければならない」と主張した。

しかし、現代・起亜自の説明はK氏の情報提供内容とは大きく異なる。
シーター2エンジンの欠陥については、米国アラバマ工場で生産したエンジンを組み立てる当時の作業工程の清浄度問題により発生した一時的不良なので、国内で生産したシーター2エンジンには該当しないというのが現代自動車の説明。

エアーバック問題についても、シミュレーションテストより苛酷な条件での試験を経ており、米国でも欠陥ではないと認められ終結した事案だという。

現代自の関係者は「K氏には業務遂行中に取得した経営上の情報、技術上の情報、研究開発に関する情報を漏洩・公開しない義務があるにもかかわらず、公益情報提供とは関係ない第三者、特定ネットサイトにまで会社の内部資料をそのまま転載するなど、無分別に外部に流している」として「中国にまで資料が流出する恐れがある」と話した。
現代自は近い将来、懲戒委員会を開きK氏を懲戒する方針。
以上、

現代自は2016年10月9日、2011年から14年まで米国アラバマ工場で生産し販売した、シーター2エンジンを装着したYFソナタ車両の所有者885千人に対して修理費用や中古評価下落分の全額を補償する条件で裁判の原告側と和解・合意した。1台当たり1千ドルかかるとして8億85百万ドルのリコール費用が見積もられている。
シーター2エンジン問題の欠陥は、韓国でも発生しており、結果、韓国でもリコールに追い込まれた。
・・・現代自はK氏を懲戒解雇。しかし、仲裁機関から復職勧告が出され、現代自は一度拒否したものの、2017年4月27日に勧告を受け入れた。

こうした影響は、米国での販売不振、中国ではTHAAD問題とも重なり甚大。米中とも販売促進のため、ほとんどのメーカーがインセンティブを拡大してバーゲンセールを行っている。そのためか、韓国車は値下げしてもコスパ効果が表れていないようだが、こうしたりコール隠しも影響しているものと見られる。
中国では中国勢の追い上げも激しい。またTHAAD問題に絡み不買運動もネットで展開されており、昨年10月完成させた河北滄州工場(生産キャパ30万台)も3月生産調整に追い込まれたほど。
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米・中における現代+起亜の販売状況 前年同月比
米国
中国
両社
米全体
両社
中全体
2016年10月
1.3%
-5.8%
1.3%
20.2%
2016年11月
9.0%
3.7%
14.5%
17.2%
2016年12月
0.9%
3.1%
3.7%
9.0%
2017年1月
-1.4%
-1.8%
-11.1%
-1.1%
2017年2月
-6.9%
-1.1%
-1.7%
18.2%
2017年3月
-11.1%
-1.6%
-52.6%
1.7%
2017年4月
-1.9%
-4.7%
-65.0%
-3.6%
・米国はセダン+P/Uトラック+SUV等乗用車/中国は乗用車
    数値はマークライン分使用
    文面はハンギョレ新聞等韓国紙参照

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