「ホンダジェット」米国で形式認証受ける 商業販売へ離陸

三菱製の国産初ジェット機「MRJ」のエンジンは、プラット・アンド・ホイットニーのGTFタイプの新型エンジンPW1000Gシリーズを採用しており、エンジンまで自社製はホンダの真骨頂となる。

ホンダは9日、米子会社が開発を進めてきた小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」が、安全性などの基準を満たすことを示す「型式証明」の認定を米連邦航空局(FAA)から受けたと発表した。認定取得に伴い顧客に順次引き渡す予定で、航空機事業に本格的に乗り出す。
創業者の故本田宗一郎氏が1962年に航空機市場への参入を宣言して以来、半世紀余りで「夢」が実現。世界的な自動車メーカーが航空機も手掛けるのは異例で、ホンダは輸送機メーカーとしての地盤を固める。
ホンダジェットはパイロットを含めて最大で7人が搭乗できる。

エンジンは、ホンダ社が独自開発した小型のターボファンエンジン HF118を基本にGEホンダ・エアロエンジン社が開発・製造したHF120を搭載する。騒音基準と排気ガスに関する環境基準については、ICAOのチャプター4をクリアする。TBO(Time Between Overhaul, オーバーホール間隔)は5,000時間と長めに設定されている。エンジンまで自社製なのは世界的にも珍しい。離陸時推力は機体未装着エンジン単体で9.32kN (2,095lbf) であるが、HondaJetの機体装着時は8.36kN (1,880lbf) となる。
この新開発の低燃費ターボファンの搭載と、機体形状の工夫による抗力減少によって、HondaJetは従来機に比べ燃費が約40%向上している。

エンジン仕様
構成: ファンと低圧圧縮機と低圧タービン、高圧圧縮機と高圧タービンがそれぞれシャフトによって結合される2スプール(2軸式)で、段の構成は、ファン1段・低圧軸流式圧縮機2段・高圧遠心式圧縮機1段・高圧タービン1段・低圧タービン2段となっている。

<諸元>
<エンジン仕様>
離陸推力: 853 kgf (8.36 kN 1,880 lbf)
離陸推力時の燃料消費率 (TSFC): 0.49 kg/hr/kgf
巡航推力: 191 kgf
巡航推力時の燃料消費率 (TSFC): 0.75 kg/hr/kgf (0.7lb/hr/lb st)
乾燥重量: 178 kg
バイパス比 (BPR): 2.9
ファン直径: 441 mm
全長: 1,384 mm(センターボディを除く: 1,118mm)

<主要項目>
乗員: パイロット1名または2名
乗客: 5名または6名(エアタクシー用)
座席数: 7-8席
全長: 12.71 m (41.70 ft)
全幅: 12.15 m (39.87 ft)
全高: 4.03 m (13.21 ft)
最大離陸重量: 4,173 kg

<動力>
エンジン: GE Honda エアロエンジンズ製 HF120 × 2
最大離陸推力: 8,363 N (853 kgf) × 2
巡航推力: 1,873 N (191 kgf) × 2

<性能>
最大巡航速度: 778 km/h(高度30,000 ft 420kt TAS)、マッハ 0.72
最大有視界航行距離: 2,593 km (1,400 nm)
最大計器飛行航行距離(航続距離): 2,185 km (1,180 nm)
燃料消費率: 3.3km/kg
最大運用高度: 13,106m (FL430)
離陸距離: 807 m (3,120 ft)
着陸距離: 694 m (2,500 ft)
最大上昇率: 1,216 m/min (3,990 ft/min)

あわせて読みたい