ホンダ/タイ政情不安で生産40%カット 政情不安の解消は王様次第

ホンダタイ法人幹部は、アユタヤ工場での生産を60%に縮小したことを明らかにした。需要減が要因。政情不安の影響で、今年の販売目標12万台は達成できない可能性があるという。
ホンダは、プラチンブリで建設中の新工場の稼働も、予定していた来年4月を半年から1年遅れさすことを決定している。
政情不安の影響で、タイの国内総販売台数は100万台を下回るとの見方を示し、同幹部は、年初から経済、政治的な環境の悪化を懸念しているとしている。

ホンダやトヨタは、2011年3月の東日本大震災でサプライチェーンが寸断され生産縮小、やっと立ち直りかけた秋には、タイの大洪水で大きな被害を生じた。特にホンダのタイ工場は水没してしまった。それにタイ国のサプライチェーンも寸断され、2011年は踏んだり蹴ったりだった。
復旧に12年初夏までかかり、やっと軌道に乗ったが、タイでは、2013年秋からインラック政権が、巨額不正蓄財で海外逃亡しているタクシン元首相に対し恩赦を議会に諮り、反政府勢力が猛反対してデモを繰り返し、政情不安に陥り、タイ経済は世界経済の低迷もあり倍返しで落ち込んでいる。
本年5月にはインラック政権が憲法違反で崩壊、政情不安の度は深まるばかり。インラック率いる利権派のタクシン派(利権派・農民層・貧困層に支持基盤)が、選挙では勝利することから、反政府勢力は政権を引き渡せとタクシン派に迫るがタクシン派は応ぜず、政治に中立の軍部が戒厳令を発令、両者を話し合わせるも隔たり大きく解決しなかった。業を煮やした軍部は22日、クーデター宣言を行った。軍のクーデターにより、集会の禁止や夜10時から朝までの外出禁止令が出されているが、タクシン派はその後も集会を開催するなど、軍部も舐められている。
ここまで来れば国民に絶対に信頼されている王様(政治に絶対中立)が、政治に介入しない限り解決の糸口さえ見えてこないが、王様は動かない。
また、軍部のクーデターといっても、下院は以前から解散したままであり、政党に属しない有識者で構成される上院(元老院)は機能しており、行政上の混乱は今後ともないと推察されている。
やはり、王様にしか政治的な混乱を収拾することは困難と思われ、それまで政情不安は長期にわたり続くことになる。
昨秋からの政情不安はすでに経済に影響しており、昨年も今年も車両の販売台数は落ちている。

あわせて読みたい