国の大気汚染対策案 たて突く英自動車工業会がディーゼル車を擁護
英自動車工業会(SMMT)は10日、英政府が大気汚染の対策案発表に着手していることを受け、ディーゼル自動車を擁護した。
英政府は昨年末に裁判所で決定された窒素酸化物(NOx)の排出量規制を順守し、大気汚染を改善させるために、欧州連合(EU)の法律に沿った計画を4月24日に発表する見通し。
SMMTのマイク・ホーズ最高経営責任者(CEO)は「最近の一部調査では、昔の乗り物と環境に優しい自動車とを識別できていない」と述べた。
英国の自動車販売は全体で6%増加する一方、ディーゼル車販売は年初来で1%減となっている。
以上、ロイター参照
韓国で販売され訴訟沙汰になった日産のディーゼルSUVキャシュカイは、エンジンルーム温度が35度以上になった場合、排ガス再循環燃焼装置=EGRが停止するようにプログラミングされていた。
これは、エンジン温度が上昇してエンジンの爆発もしくは壊れる現象を防止するためであり、EURO基準でも裏側で認められていた。
ゴーン氏は、EURO基準の英国(韓国販売のキャシュカイは英国産)で認められているのに、何でEUとFTA(自由貿易協定)を締結している韓国での販売を停止処分され、罰金を支払わなければならないんだと韓国当局を提訴した。
いつものとおり、韓国の裁判所は、日産のこうした提訴を退けた(日産が控訴したのかは不知)。
一連の問題で、韓国当局はVWの不正問題から、韓国内で販売されているディーゼル乗用車を検査、その結果、20車中18車種でそうした不正プログラミングが設定されていたという。しかし、日産キャシュカイ以外はエンジンルーム温度が48度に設定され、日産車だけが35度とは異常だとして、販売停止命令と制裁金を課していた。
(VW不正問題で該当車12万台が走る韓国、当局やユーザーは米国並みの補償をVWに求めたが、VWはリコールのみでうてあわず、韓国当局は国民の突き上げを受け、外国メーカーのディーゼル車の徹底調査に乗り出した。この間の調査で、ボロボロ輸入検査資料の不正が見つかり、当該車は、韓国内での販売を停止に追い込まれている)
EUROの排ガス規制基準は世界一厳しいとされる。しかし、欧州自動車工業会の圧力やドイツの自動車業界と独政府との癒着が以前から指摘され(VWの主要株主に独地方政府、ルノーの筆頭株主に仏政府)ていた。
<EURO基準はザル法>
韓国当局の検査で明らかになったのは、EUにおけるディーゼル車の排ガス規制はザル法であるということだろう。
EGRを停止させた場合、エンジンやバッテリーに負荷がかからず、燃費が大幅に改善される。
検査場だけでEGRが機能するという究極の不正に走っていたのがVWであった。
その結果、EURO基準をクリアしたディーゼル車が、実際の走行では何十倍も窒素酸化物を排出している事実が判明している。これは欧州のいくつもの環境団体がそれぞれ調査した結果と整合している。
エンジンルーム温度が実際の走行で35度や48度以上になることはほとんどだろう。
最近、フロントマスクが巨大になったモデルばかり販売されているが、ガソリン車でもこうした問題があるのかもしれない(ガソリン車にはEGRはない)。
中世の石畳道路や丘陵地が多い欧州にあり、トルク性能(粘り腰)に優れるディーゼル車の販売は、燃料がガソリンより安いこともあり、以前からガソリン車より多く販売されている。
パリのスモッグは、ほとんどこうした排ガス基準の抜け穴によるものと見られている。
こうしたディーゼル車の規制の抜け穴を知っていたのは、欧州自動車工業界と欧州メーカー各国政府の担当局でしかなく、政府機関の多くや環境を大事にする市民・国民にはまったく知らされてこなかった。
それほどEURO排ガス基準をクリアするには、膨大な研究開発費と研究そのものに限界もあったといえる。
それをある程度クリアしているのは、窒素酸化物を抑制できる低燃焼エンジンを開発したマツダのクリーンディーゼルエンジンだけだともいえる。
VW不正問題も喉元を過ぎ、問題は希薄化し、元の鞘に収まりつつあるが、投げかけた問題は大きく、欧州機構や各国政府機関でザルを撤廃する動きになっている。
世の中、VW不正排ガス問題から、環境問題が影を潜めている。中国やインドの環境汚染はますますひどくなるばかりであるが、(過去の環境汚染=硫黄酸化物などの酸性雨で死の森がまだ各地にある)欧州や米国にその煙霧が向かわない限り、世界で問題になりそうもない。
西日本の沿岸部の海水がすでに酸性化しているとの調査報告も発表されている。
中国では、大気汚染問題を政府批判として問題化した場合、市民、弁護士、記者に至るまで全員豚箱に収監されている。政府批判を絶対許さないのが覇権君主の習王朝の国民に対する絶対命令で、中国民は大気汚染を受け入れている。