中国 1月の自動車販売7.7%増 韓国系は▲22.3%減 どうして

中国は経済低迷と裏腹に自動車販売は回復している。ただ、これは昨年10月に施行された自動車取得税の減税措置(10%⇒5%)に消費者が反応したものだが、1月も好調を維持し前年同月比7.7%増の245万20百台の販売台数となっている。

しかし、韓国系の自動車会社(ほとんど現代と起亜)の販売台数は、同比▲22.3%減と大幅に下落している。現代自動車は、昨年上半期の販売不振は中国経済の低迷とモデルチェンジの遅れと自己分析、昨秋にSUVの新型「ツーソン」とセダンの新型「K5」を投入して、9~12月の回復を見た。しかし、そのモデルチェンジなどの効果が1月にはもう剥離したのか、大幅減となってしまった。
韓国系の車両は、世界中で安価販売を戦略としており、外資系では中国でこれまで一番安かった。しかし、韓国系よりさらに安い中国勢の品質レベルも上がってきており、韓国系の販売市場を中国系が食っていることを如実にあらわした。また、韓国系でも価格が高い車両は日系車両に食われている可能性がある。ただ、日系車両で売れているのは減税効果のある1.6L以下の車両であり、1.6L以下以外であまりバッティングするところはないと思われる。

1月の韓国完成車メーカー5社の世界販売台数は、中国での大幅減もあり、62万6315台で、前年同月比▲12.8%減となった。
中国勢も輸出を次第に本格化させており、特に新興国で韓国勢が一定のシェアを持つ地域では、中国勢の餌食になる可能性もある。
韓国の現代グループ(現代と起亜)は、安く大量販売することを至上命題にし、品質が向上してきている中国勢との差別化をはかってこなかったことにも起因していよう。

現代自動車は105階建の本社タワービルをソウルのド真ん中に建設をするどころではないのだろうが・・・。

現代と起亜は、中国でこれまで大量販売してきていることから、中国での落ち込みを他国でカバーするのは至難の業となる。また、中国勢との戦いで価格を下げれば、サムスン同様利益を損ない、しいては市場も失うことにもつながる。
一方、アメリカ市場は、新興勢力の台頭はそれほどないが、大きく伸ばせる要素も少ない。ここでも安値販売して販売台数を稼いでも利益を損なうことになる。昨年期の営業利益の大幅減少は、主に米国における値引きにあると見られている。
現代自動車の2015年12月期の売上高は前年比3.0%増で過去最高の91兆9588億ウォン、世界販売台数過去最高の496万3023台だった。しかし、営業利益は前年比▲15.8%減の6兆3579億ウォン(約6230億円)で5年ぶりの低水準となった。当期純利益も前年比▲14.9%減の6兆5091億ウォンとなっている。ウォンは対ドルで1~2割ウォン安となっている。

<韓国系の市場、中国勢に食われる>

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2016年1月の自動車販売台数
 
台数
前年比
中国系
101.39
16.6%
独系
44.77
0.3%
日系
29.82
22.5%
米国系
26.90
10.3%
韓国系
12.39
-22.3%
仏系
6.55
-10.6%
・工場出荷ベース、中国汽車工業協会編
 
<韓国系の自動車販売に異変>

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中国における韓国系自動車販売台数推移
/万台
韓国系
中国全車
 
台数
前年比
台数
前年比
2013
157.75
17.7%
2,198.41
13.9%
 
2014
176.61
12.0%
2,349.19
6.9%
 
2015
167.88
-4.9%
2,459.76
7.7%
 
2015年1月
15.94
-9.0%
231.46
7.6%
 
2
11.85
0.9%
159.33
-0.2%
 
3
16.25
10.2%
224.06
3.3%
 
4
14.62
2.5%
199.45
-0.5%
 
5
12.90
-9.9%
190.38
-0.4%
 
6
9.77
-29.0%
180.31
-2.3%
 
7
8.42
-32.7%
150.30
-7.1%
 
8
9.62
-26.6%
166.45
-3.0%
 
9
13.23
7.6%
202.48
2.1%
 
10
15.79
5.6%
222.16
11.8%
取得税減税
11
18.02
11.5%
250.88
20.0%
 
12
21.47
17.5%
278.55
15.4%
 
2016年1月
12.39
-22.3%
245.20
7.7%
 

 

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