2014年に見る自動車業界 輸出額増の実態

自動車業界は超円安による水脹れにより好決算を出しているが、軽自動車製造業界を除き、今や世界での販売が主力となっている。ドルベースで決算を見たことはあるだろうか。

アベノミクスでの第一次押上げ(日銀金融緩和2013年4月)では、対ドル円はおおよそ80円が105円まで押し上げられた。昨年10月からの第2次(黒田丸によるバズーカ砲連発)では105円が123円まで押し上げられている。
第一次では31%円安になり、第2次では17%円安となり、通算では53%円安となる。海外取引分は当時のままの売上額であったとしても、単純計算では為替効果で53%の増収増益をもたらしていることになるのだが・・・。

自動車業界は、日本では少子化と低賃金の非正規雇用者の大量創出が進む中、売れない車を造ってもしょうがないように思える。メーカーとしてのラインナップも重要だろうが、絞り込むことのほうがよほど効率だろう。

昨年のマツダは20位以内に1車もなかったが、今年はスカイアクティブエンジンに加えモデルチェンジが奏功し、全体でも売上台数を快調に伸ばしている。
レクサスは日本よりアメリカ市場をターゲットとした戦略ブランドであり、それはそれなりにアメリカで成功している。
日産は10位以内にデイズだけ入っているが、この車の生産は三菱が担っている。ゴーン体制が続く限り、親のルノーに利用され続け、日本軽視の動きも止むことはない。その血統も今やGT-R位しか残っていない。

ホンダは、国内では軽自動車で茶を濁している。中国では絶好調といっても昨年が戦略ミスで悪すぎた結果でもある。エアバッグに対する経営陣の対応のマズサからアメリカでは信用を失し、販売も低迷、やっと回復しつつある。同じ土壌のエリートコースを進んできた人が社長になっても体質は変わらないだろう。

政府は、昔から進歩もせず今も日本の基幹産業と位置づける自動車産業に儲けてもらうため超円安政策を行使した。
しかし、残念ながら、自動車産業は今や海外生産が過半を占め、輸入物価高で国民犠牲の下、超円安の為替で儲けているものの、業界では、日本での新工場建設のコの字も浮上しない。
日本の全輸出数量も2010年に比し減少しているものの、超円安による水脹れの輸出額増に日本の証券市場は沸いている。中国経済の低迷は韓国経済を直撃、東南アジアも影響を受け低迷を招いており、日本の輸出業界にも暗雲が垂れ込めてきており、東南アジアへの工場進出組も現地の経済低迷で頭を痛めている。
日本のGDPの最大のファクターである消費者軽視の政策が続き、一向に日本の景気は上向かないのが現状だ。何かバブル崩壊後の膨大な公共投資の垂れ流し時と似てきている。

2014年のブランド別・車両名別内訳/自販連資料参照
 
1~20位
21~50位
51~100位
101位~174位
トヨタ
6
12
13
9
40
レクサス
0
0
4
17
21
ホンダ
4
5
3
7
19
日産
3
3
9
12
27
ダイハツ
3
1
2
4
10
スズキ
4
2
3
7
16
マツダ
0
3
8
4
15
スバル
0
3
4
5
12
三菱
0
1
4
9
14
 
20
30
50
74
174
販売台数
228,375
66,702
15,384
2,985
 
 
 
 
67,149
15,828
3,104
13
 
・2014年日本車登録台数、10台未満は古い旧型車と思わる22車名分省略

 

2014年のトップ10
アクア
トヨタ
228,373
タント
ダイハツ
214,867
N-BOX
ホンダ
188,922
デイズ
日産
167,489
フィット
ホンダ
166,433
ワゴンR
スズキ
156,429
プリウス
トヨタ
154,610
ムーブ
ダイハツ
135,536
N-WGN
ホンダ
125,342
ミラ
ダイハツ
123,007

 

2015年6月の日本の輸出/億円
輸出額
65,057
前年比9.5%増
輸出数量
91.1%
←2010年100
昨年の7月より15~17%円安となっており当然の結果。本来17%以上の輸出増となるはず、その裏返しに数量は91.1%となっている。東南アジアや中国・韓国の景気が悪く、値引かれているものと思われる。

 

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