GMが韓国で生産縮小する本当の理由

韓国GMは、韓国内に5つの工場を有し、欧州向けのシボレーの「スパーク」など大半を韓国で製造し、合わせて1万7000人以上の従業員を抱えている。

去る5月に米国を訪問した朴槿恵大統領が晩餐席で、ダニエル AアカーソンGM会長と会話「今後5年間、賞与金を含む通常賃金問題解決を前提に韓国に80億ドルを投資する」とすると、朴大統領は「必ず解決する」と応じた。

しかし、韓国GMの労働者が、会社を相手に起こした訴訟で、ソウル高裁が7月26日‘業績年俸’も通常賃金に含めなければならないと宣告したことにより、通常賃金の範囲を非常に狭く解釈してきた政府の論理は崩れることになった。
しかも定期・固定・一律性のある賃金は、全て通常賃金に含めなければならないという裁判所の一貫した決定が、再度確認されたことで、通常賃金の範疇を新たに設定しようとしていた政府計画はもろくも崩れた。

朴大統領が、GM会長の脅迫じみた投資計画を口実に、通常賃金の範疇を別に議論することができるかということになってしまった。
しかも、韓国の最高裁は12月18日、自動車部品メーカー「甲乙オートテック」の社員などが起こした裁判で、企業の人件費の大幅負担増につながる基本給に賞与も含めるべしとの判断を下した。

GMは12月17日、欧州向けのシボレーの大半を韓国で製造しているが、2015年に欧州でのシボレー販売を停止するとし、韓国GMの6,000人の従業員を削減すると発表した。
コストアップがはっきりした今、GMは順次撤退していくものとみられる。
朴大統領の大統領就任外交、経済使節団を携えての訪問は、日本を除く主要国のほとんどを行脚してきた。
しかし今、内国に対してリーダーシップのなさを露見させており、盧武鉉・明博から続く反日だけで、いつまでも存在感を維持するのは厳しい情勢になってきている。また、こうした訪問外交の綻びも生じてきている。

結果、GMは、韓国大統領に対して、これ以上の労働コスト上昇の抑制を期待したものの、韓国大統領は期待にこたえなかった。そのため、GMは、韓国GMの従業員総数の35%に当たる6000名の人員削減を行うと発表した。

日本も昔、社会党を中心にした労組がストをよくやっていた。それを考えれば、韓国の労使環境は、日本から40年遅れているとも言える。韓国ではこうした事情もあり、工場の空洞化が進んでいる。ただ、日本の労働組合はないほうがましなような、アメリカの組合よりも何もかもなくしてしまっている。

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