5月の欧州自動車市場 続落 4月の増加はカレンダー要因と

5月の自動車販売台数は、ドイツとフランス、イタリア、スペインいずれも前年同月比で減少、今年は欧州の自動車販売が回復するという自動車メーカーの期待に水を差す形となった。
4月の欧州自動車販売(登録台数)は19ヶ月ぶりに増加に転じた。このため欧州全体で約10%という第1・四半期の販売減は、今年全体の基調にはならないとの見方がメーカーの間で広がっていた。
しかし、欧州最大の自動車市場であるドイツでは、マツダのドイツ子会社が示した公式データによると、5月の自動車販売台数は▲9.9%も減った。4月は3.8%増だったが、これはカレンダー要因による押し上げにすぎなかったとみられる。

一方、スペインの自動車業界が3日発表した5月の販売台数は▲2.6%の減少だった。4月は昨年8月以来初めて販売が増えていた。
このほかフランスの販売台数も▲10.3%減(4月は▲5.2%減)、イタリアは▲7.9%減(4月は▲10.8%減)となった。

欧州全体の失業率もそうだが、若年層の失業率は悲惨な状況となっている。その高さが購買力を落としており、循環経済の自然治癒力を待つにはグローバル化した世界にあり、遅々として進まない。官民上げての積極的な雇用対策を採らない限り、欧州経済の回復は暫く望めそうにない。

ドイツは、中国での輸出が減退すれば、欧州での輸出には希望が持てず、米国だけが頼りの綱となる。その米国も・・・。ドイツは総選挙を控えており、金持ち国家であり、経済振興策を大々的に打ち出すことになろう。反面、保守主義が台頭し、ユーロ圏の救済支援は限定されるものとなるおそれがある。そうすれば、ますますユーロ圏の回復は遅れることになるが。

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