米議会や当局を敵に回したタカタ  ここまでくればとことん行け

<3日公聴会>
3日に米下院のエネルギー・商業委員会の公聴会が開催された。公聴会では、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が要求している運転席用エアバッグの全米規模でのリコールについて、タカタ側が実施するのかどうかが焦点だった。
タカタの清水博シニアバイスプレジデント(本社の品質保証担当)は、2日に公表された証言原稿のなかで、危険性が高いとされる多湿地域に、優先的に代替部品を供給することが肝要との認識を事前に示していた。
清水博氏は3日の公聴会で、「現時点でデータは地域限定リコールの全米への拡大を支持せず」と発言した。(タカタは、現在リコールを進めている高温多湿地帯の南部を除いた場合、納品した自動車メーカーの指示に従うと発言しており、自ら主導したリコールの表明はしないとしたもの。)
(実際、交換用のインフレーター製造は月間35万個、今後同業者に発注して計45万個にするというが、リコールするには途方もない時間が必要となっている)

先立つ2日のタカタの高田重久会長兼最高経営責任者(CEO)は、エアバッグ問題を受け、サミュエル・スキナー元米運輸長官が責任者を務める独立の品質保証委員会を設置すると明らかにしている。同委員会はタカタの製造プロセスを検査、報告する。
また、スキナー氏と同様、運輸長官を務めた経歴を持つロドニー・スレーター氏とノーマン・ミネタ氏を特別顧問に迎えるとしている。新設する委員会は、タカタの製造過程を監査し報告する。報告書は公開される。

高田重久会長は、元運輸長官らの起用について、エアバッグ問題解決に向けた決意を示すものと強調した。また、タカタはリコール(回収・無償修理)に必要な交換用のインフレーター(ガス発生装置)キットの増産に向け、競合他社との提携を含めた革新的な措置をとると表明している。
増産はアジアと欧州のほか、メキシコの工場でも行い、交換用インフレーターキットの製造を1月から、現在の月間約35万個から少なくとも同45万個(年生産540万個)に引き上げる。
タカタはまた、インフレーターのどの部分が破損したのか究明するため、爆発物を専門とする科学者を含め、外部の研究者と協力していることを明らかにした。

一方、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は2日、エアバッグ問題をめぐる全米リコール要請に対するタカタの反応に「失望感」を表明した。
タカタの高田重久会長兼最高経営責任者(CEO)は、リコールについては、自動車メーカー各社の判断にゆだねる姿勢を示している。
NHTSAは、タカタは運転者の安全を確保する責務を負っており、全米リコール以外はその責務を果たすことができないとの考えを示した。
NHTSAは、タカタの反応を精査し、次の措置を検討するとしている。
また、タカタが最初に不具合に気づいたのは05年(アメリカの一部の同社担当者)だが、実際にホンダがリコールに踏み切ったのは事故が起こった後の08年。なぜ対応が後手に回ったのか。1月5日までの提出が求められているタカタの報告書に、明確な回答が盛り込まれるか注目されているという。
 以上、

タカタは、これまでの報道で、急激な海外展開で、特にメキシコ工場の品質管理が疎かになっていたと指摘されている。
タカタのエアバック問題の裏側に垣間見えるのは、GM問題を早期に払拭させ過去に葬り去るためにも、米議会の自動車族議員たちはタカタたたきに躍起になっている姿だ。
アメリカのGM問題は、開発段階からスイッチ不良が判明しており、特にタチが悪いにもかかわらず、また13人の死亡者を出しながら、トヨタのような大きな問題とはせず、終息させる動きとなっている。いつものジャパンパッシングの一環とも見て取れる。
しかし、米議員の自動車族たちと結託した当局などはプライドだけで動き、怒らせた場合、さらにジャパンパッシングが、重箱の隅を突くように拡大する可能性もある。
特に、貿易不均衡問題に発展する恐れがあるが、いつもやり玉に上がる日本勢のアメリカでの自動車販売車は、かなりの部分が既にアメリカ・カナダ(米FTA国)・メキシコ(米FTA国)で生産されており、大きな問題は生じない。せめて日本の軽自動車制度にケチを付けるくらいだ。それでも日本政府はビビリ上がっているのが実情であるが・・・。

追、
ロイターの記事では、米国では過去数週間、トヨタ車の所有者の多くが、郵便で重要な警告文書を受け取った。そこには「直ちに販売店に行き、欠陥のあるエアバッグを交換するように。それまでは助手席に誰も乗せないように」と書かれていたという。
一方、同様のエアバッグを搭載しているクライスラー 車の所有者には、12月まで正式な通知は届かないようだ。だが、エアバッグの検査と引き換えに、ディズニー・ワールドの無料チケットが配布されるという。
過去6年間で、タカタ 製エアバッグに関連した事故により少なくとも5人が死亡した。問題のエアバッグは異常破裂し、金属片が飛散する可能性が指摘されている。

これまでに世界中で1700万台以上がリコール(無償の回収・修理)対象となっており、そのうち米国内が1100万台超を占める。
ただこの数字は、ある特定車種を対象にした正式なリコール以外にも、地域的な非公式のリコール、そして安全性向上キャンペーンなどを寄せ集めた内容となっている。
速やかな修理を約束された車の所有者がいる一方で、対応には時間がかかると言われた所有者もいる。中には、自動車メーカーから全く連絡がない場合もあるという。

こうした混乱の背景には、エアバッグ破裂の原因に頭を悩ませる自動車メーカーが、高コストの修理に前向きではなく、米安全規制当局も全面的なリコールに向けてメーカーを強く説得できないことがあるという。
・・・以上ロイター
ロイターは亡くなったのは5人と記載しているが、本当の死因は確認できない。既に死体も何もない。実際、それほど大きな衝突や転覆の交通事故により死亡しており、死因を究明するのは難しいだろう。
問題のエアバックは、かなり古いタイプのエアバックであるが、そのため、これまで大きな問題ともならなかったことを見ても理解できよう。米公聴会で証言した顔に傷を負った女性のように直接的な実証は、死人にはできない。
以上。

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