ロイター/GMの点火スイッチ問題放置による死亡事故13名が実は74名と試算

ゼネラル・モーターズ(GM)の大量リコール(回収・無償修理)問題で、リコールの原因としているエンジン点火装置の不具合で衝突時にエアバッグが作動せず死亡した人数が、GM側が公表している13人を大幅に上回り、少なくとも74人にのぼる可能性があることが、ロイターの調査分析で明らかになった。
しかも、この種の事故の発生率は、GM車が他社より高いことも判明した。

<事故データベースを検索、死者数は74人に>
ロイターは、米のFARS(交通事故分析報告システム)のデータベースで、2003─2012年に当局に報告された、エアバッグが作動せず運転席あるいは助手席の人が死亡した正面衝突事故を検索し、リコール対象の「シボレー・コバルト」および「サターン・アイオン」と、競合車種のフォード・モーター「フォーカス」、ホンダ「シビック」、トヨタ「カローラ」と比較してみた。
その結果、前方座席の死亡者数は、GMの「シボレー・コバルト」が45人、「サターン・アイオン」が29人で合計74人。フォードの「フォーカス」が44人、ホンダ「シビック」が41人、トヨタ「カローラ」が24人だった。

<他社の同クラス車種に比べ高い事故率>
死亡事故の件数は、「シボレー・コバルト」が42件、「サターン・アイオン」28件、「フォーカス」43件、「シビック」39件、「カローラ」24件となった。
事故件数にさほど大きな隔たりはないが、販売台数は「フォーカス」、「シビック」、「カローラ」の方がはるかに多いため、死亡事故の確率はGM車の方が高くなり、「サターン・アイオン」の死亡事故確率は「カローラ」のほぼ6倍、「フォーカス」の2倍に上るという結果が出た。
具体的には、「サターン・アイオン」の死亡事故は10万台当たり5.9台、「シボレー・コバルト」は4.1台。これに対し、フォードの「フォーカス」は2.9台、ホンダ「シビック」1.6台、トヨタ「カローラ」は1.0台だった。

<米関係当局も「死者数は13人より多い」との見方>
ロイターは詳細な調査結果をGMと米道路交通安全局(NHTSA)に提出した。GMは、調査結果に関するコメントを差し控えた上で、「当社は、顧客にとって正しいこと、つまりリコール対象車の速やかな回収、訴訟への対応、安全性に関する新たな業界標準の設定に重点を置いている」と回答するにとどめた。

NHTSAの幹部はロイターに対し「NHTSAは、GMのリコールの原因に関連した最終的な死者数を把握していないが、13人以上の可能性があると信じている」と述べた。 トヨタとホンダはコメントを差し控えた。フォードは「フォーカス」に関するロイターの調査結果に反論する方針を示したが、その具体的な根拠は明らかにしなかった。
ただ、今回のロイターの調査分析の問題点を指摘する声もある。
米保険業界が設立した非営利団体、米国道路安全保険協会(IIHS)の調査責任者デビッド・ザビー氏は、「シボレー・コバルト」と「サターン・アイオン」の耐衝撃性が相対的に弱いという分析結果は、2011年のIIHSの調査結果と似ていると述べたものの、ロイターの分析にはいくつかの限界もあると指摘。
ロイターの分析は、点火装置の不具合でエアバッグが作動しないケースに似た状況に絞っているが、点火装置の不具合で74人が死亡したとは断言できず、死亡者数を膨らませている恐れがあると述べた
以上。

これまで、こうした死亡事故がありながら、原因究明を行わなかったのは、GMと米道路交通安全局の癒着でしかない。当然、GMのロビー活動の成果である。GMのロビー活動費や寄付金を調べた方が手っ取り早いだろう。
高速運転していて突然、スイッチが切れ、ハンドルのパワーステアリングも効かなくなり、すべてのコントロール失い事故に至るケースは誰でも想像できよう。

<訴訟も起きている>
GMは2001年に点火装置の問題を把握し、05年には販売店に対し改善措置に関する業務広報を行っていたにもかかわらず、リコールの発表は今年(2014年)の2月まで行わなかった。
訴訟の事故は、05年モデルのコバルトを運転中の06年に発生。走行中に点火装置のポジションが突然変更し、ハンドル操作やブレーキが効かなくなって道路わきの木などに衝突した。事故で15歳と18歳の少女が死亡し、19歳の少女が頭部と身体に重傷を負った。原告側は、GMは10年間も欠陥を把握しながら、車両の修理や回収などの措置を怠ったとしている。
以上。

ロイターの死亡事故確率の算出方法は興味深いものであるが、日本車が米車に比較していかに安全かを立証したものにもなっている。
こうした死亡事故確率が高い米車をトヨタは日本でなぜ売らないとナン癖を付け、ほかのTPP分野で大幅譲歩を日本に迫るセコイやり口が米国の単純明快な常套手段だ。

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