ベンツ排ガス不正疑惑捜査 ダイムラーに飛び火 FCA・ルノーも

排ガス不正プログラム搭載問題の元凶となったVWは、最大総額250億ドル(2.7兆円/111円)を支払うことで和解している(罰金や訴訟和解など)。

<独・ダイムラー>
ベンツのダイムラーは5月23日、ディーゼル車の排ガス不正と虚偽広告の疑いで捜査を進めている検察当局から、複数の事業所が家宅捜索を受けたと発表した。
当局に協力していると強調したが、具体的な捜索状況は明らかにしていない。
一方、この問題の捜査を指揮しているシュツットガルト検察当局の説明によると、家宅捜索には23人の検事と警察官や司法当局者など約230人という大掛かりなものになっている。
バーデン・ビュルテンベルク、ベルリン、ニーダーザクセン、ザクセン各州の11ヶ所を対象に、証拠品探しやダイムラー社員への聞き取りなどを行ったという。

一方、ディーゼル車の排ガス不正疑惑でダイムラーを捜査しているドイツの検察当局は、同国の自動車部品メーカーであるボッシュの従業員に対しても捜査を進めていると、ドイツ紙ハンデルスブラットが検察当局の話として伝えた。
同紙によると、シュツットガルト検察の報道官は「ダイムラーの件に関連して(不正を)ほう助した疑いで捜査している」と話した。
以上、
欧州の自動車業界は、VWのディーゼル車排ガス不正プログラム問題を、今だ引きずっている。

<伊+米・FCA>
米環境保護局(EPA)が5月23日、米司法省が、ディーゼル車の排ガス不正問題を巡り、欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)を民事提訴したことを明らかにした。
今回の提訴によって、FCAへの圧力は一段と高まるとみられ、和解につながる可能性がある。これまで、FCAは不正行為を否定している。
訴状によると、FCAは排ガス規制を逃れるため、2014-16年モデルの車両に未申告の「ディフィートデバイス」を搭載していた。
EPAは2017年1月、VWの排ガス規制逃れ問題を受けた関連調査で、FCAが米国で販売したトラックやスポーツ多目的車(SUV)約10万4000台に未申告のソフトウェアを搭載し、基準値を超える排ガスを排出していたことが分かったと指摘していた。

<仏・ルノー>
今年1月には、フランスで、ゴーンのルノーが、パリ検察当局から、排ガス不正疑惑について家宅捜査を受けた。当疑惑を巡っては、仏政府が昨年11月、消費者問題監視当局(DGCCRF)による調査結果を検察当局に送付し、捜査対象になる可能性があるとの見解を示していた。
ルノーは、不正はなかったと繰り返し主張している。
以上、ロイター参照

問題ありとなれば、ゴーンの責任問題となり、仏政府が大株主でもあり、その地位を追われることになる。ゴーンは好業績の日産を抱え配当もしており、そうはさせないだろう。

原油価格が高騰した中、ガソリンより、安価でトルク性能が良いディーゼル車が、クリーンエンジン、ターボやWOHC搭載によりエンジンを小型化し、排気量を小さくし、必要な場合はターボなどで高域回転により、馬力を補助、また、排ガスを再循環燃焼させ、ディーゼル燃料特有の排ガスの規制をクリアーする2段構えで、排ガスと燃費効率をクリアーした欧州のディーゼル車。
しかし、排ガスを再循環燃焼装置(EGR)は、エンジンに負荷がかかり、小型化すればするほど、エンジンが耐えられないものになる欠点があった。
VWの販売車両は最初から再循環燃焼装置(EGR)が機能しないように設定、実際は基準値を大幅に上回る排ガスを撒き散らしていたことが発覚、EPAに摘発され、大問題に発展した。
英国産ルノー日産のキャシュカイのディーゼル車の場合は、エンジン付加を考慮し、エンジンルームの温度が35度になれば、再循環燃焼装置(EGR)の機能をプログラムで強制的に止め、高濃度の排ガスを撒き散らしていた。
欧州製のほとんどのディーゼル車もプログラムを強制的に止めていたが、その温度は48度に設定されていた。
ディーゼル車に対するユーロ基準そのものが、表の厳しい基準と当局が認めた裏基準があり、エンジンが高熱で破壊される恐れがある場合は、排ガスを再循環燃焼装置(EGR)を稼動を停止させてよいというもので、停止条件の設定温度がメーカー側に一任されていたことに、問題が複雑になっている。
輸入される外車は、形式認定を受け販売されるが、その際、当該国の規制をクリアーしなければ販売できない。こうしたプログラムの設定は、検査時にはわからず、申告制になっている。FCAの場合、申告していたかどうかが問われているもの。

 

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