フィアット/クライスラーを完全子会社化の意向

クライスラー伊フィアットは、現在クライスラー株を58.5%所有しているが、完全子会社にすべく残り41.5%(米退職者向け医療保険基金(UWA-VEBA)保有)を買い取るため、金融機関4行(伊行1行+米行3行)へ10億~20億ユーロの増資を実施する可能性を金融機関に打診していると報じられている。

クライスラーの現在価値は90億ドル~134億ドルと見積もられており、VEBA保有の41.5%の価値は少なくとも41億~55億ドルとされる。フィアットの手元流動性資金98億ユーロ(約1兆486億円)を考慮しても、ハゲタカの格付機関が格付を落とすことも考えられ、流動性資金を大きく落とすわけにはいかない。そうしたことから、金融機関へ打診しているという。

 

2009年4月のクライスラーの破産では、全米自動車労働組合系(UWA-VEBA)が55%、フィアットが20%、アメリカ政府が8%、カナダ政府が2%となっていた。 フィアットは将来的に持株比率を35%まで引き上げることが可能で、さらに、アメリカ政府から受けた公的資金を完済すれば、発行済み株式の最大51%を取得して子会社化できる条項も盛り込まれていた。

その後株所有者はいくらか動き、フィアットの未所有分は41.5%になっている。

今回のこうした動きに、フィアットの財務内容が悪化する懸念からフィアット株も14日急落している。

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