トヨタ メキシコと中国に工場新設へ
トヨタが3年にわたって続けてきた新工場建設の凍結を解除し、中国とメキシコでの工場新設を検討していることがわかったとロイターが報道している。すでに両拠点の事前調査を終えているという。
米国トヨタ自動車販売のジム・レンツ社長は12日、米デトロイト自動車ショーでロイターに対し、「再び成長しようとしており、階段を上がるつもりだ」と語り、凍結解除の方針を示す一方、「過去とは違う方法を取り、成長のためだけの成長はしない」と述べた。
同氏は、メキシコと中国での具体的な計画についてはコメントしなかったが、両拠点での工場新設について、複数の幹部が「経営陣からの最終承認を待っているところだ」と話している。
トヨタは、これまで工場の新増設による規模の急拡大がリーマン・ショック後の巨額赤字を招いたとして、台数を追うだけの生産能力拡大ではなく、既存工場の生産性向上を最優先する取り組みを進めてきた。
しかし、北米や中国での今後の需要に対応できる体制を整えることが重要と判断、品質管理やコスト競争力が実現できる生産ラインであることを条件に新工場建設を検討している。
工場新設案は昨夏に事業部から経営陣へいったん提案されたが、豊田章男社長が再精査を求めていた。
2015年になり、社長、副社長らによる会議を開催。今月半ばには各拠点での新工場について本格的な検討に入る予定。
新工場は、中国では同社がすでに合弁工場を持つ吉林省長春市の北東部と広東省広州市の南部の2拠点、メキシコでは自動車関連企業の進出が活発なグアナファト州などのある中央部に建設を検討。メキシコ新工場では2019年5月から小型車「カローラ」の次期モデルの生産を開始する案が議論されているという。
また、別の幹部の話では、メキシコ、中国で工場を新設しても、トヨタが世界全体の生産能力を拡大することには必ずしもならない可能性があると話している。
同社は現在、商品力向上と原価低減を同時に達成するため、プラットフォーム(車台)や部品を複数の車種で共通化させる新しい設計手法「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」による車づくりを進めており、TNGAに対応できない古い生産ラインを改良・停止することになるためだという。
トヨタはこれまで、既存工場の生産性を向上させて稼働率を高め、品質の確保やコスト削減を現場レベルで徹底させる生産改革を実行してきた。特に北米や中国での市場拡大が中長期的に見込まれているため、需要を確実に取り込めるよう筋肉質な生産体制を整える。
以上、
アメリカとFTAを締結し、労働コストが安いメキシコへは、すでにホンダやマツダなど進出している。