トヨタ 燃料電池車を700万円前後で今年度中に市販へ 別途国の補助金

トヨタは次世代のエコカー、「燃料電池車」の将来の販売競争に先手を打つため、一般向けの販売を700万円程度の価格で今年度内に始める方針を固めた。
燃料電池車は、車に充てんした水素と空気中の酸素を反応させて発生した電力でモーターを回して走る車で、走行中に二酸化炭素を排出しないことから、次世代のエコカーの本命とも言われている。
この燃料電池車について、トヨタは一般向けの販売を700万円程度の価格で今年度内(2015年3月まで)に始める方針を固めた。

トヨタは12年前からリースに乗り出しているが、毎月のリース価格が当時120万円かかっていたため、納入先は官公庁などに限られていた。
そこで、高価な部品の使用量を減らしても性能が落ちないようにするなど、コストダウンを進めたほか、量産体制も整えるといった価格の引き下げに向けた開発を加速させた。

トヨタは早ければ年内に発売することも検討しており、ほかのメーカーに先駆けることで、将来、世界の自動車市場で主流となる可能性があるとみている燃料電池車を巡る販売競争をリードしたい考え。

このほか、ホンダは来年に、日産は3年後に燃料電池車の一般向けの販売に乗り出す計画だが、普及に向けては水素を車に充てんする水素ステーション施設の数をどこまで増やせるかなどが課題となる。

<燃料電池車開発の経過>
国内外の自動車メーカーが燃料電池車の開発を本格的に始めたのは1990年代。
日本のメーカー各社もトヨタと日産、それにホンダなどが、心臓部となる燃料電池などの開発を始めた。
そして、トヨタとホンダは2002年、日本とアメリカで燃料電池車のリースを始めたが、当時の毎月のリース価格は100万円前後かかり、納入先は官公庁などに限られていた。
そこでトヨタが、燃料電池に使われるプラチナの使用量を減らすなど、国内のメーカー各社はいち早く市場に普及させるため、コストの引き下げを急いできた。
燃料電池車が将来、世界の自動車市場で主流となる可能性があるとみているためで、ホンダは来年、日産は3年後の2017年に一般向けの販売を始める計画。

<普及への課題、水素ステーション>
燃料電池車の普及に向けては依然として課題がある。
トヨタが販売する燃料電池車は、コストダウンによって700万円程度まで価格を抑えたが、それでも多くの車と比べると割高。さらに、水素を充てんする水素ステーションの設置を全国に広めることも欠かせないが、計画中のものも含めて、全国で約30ヶ所にとどまっている。
このため政府は、2025年ごろまでには燃料電池車の販売価格をハイブリッド車と同じ水準に引き下げるとともに、規制緩和を通じて、水素ステーションの建設コストを引き下げ、設置箇所を増やすという工程表を今月まとめた。
燃料電池車を巡る世界的な競争をリードするには、まず、本国市場である日本での普及に向けて、官民を挙げて価格の引き下げやインフラ整備に取り組めるかが鍵を握る。
なお、価格については、政府が補助金を検討しており、EVの例からすれば、普及させるため200万円前後の補助金がつくものと見られる。そうすれば500万円前後の車両価格となる。

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