VW/一足先に賃上げへ

フォルクスワーゲン(VW)は28日、ドイツ金属産業労組(IGメタル)との間で、ドイツ工場の従業員を対象にした2段階の賃上げで合意したと発表した。
合意では、ドイツ西部にある6つの工場と金融サービス部門の従業員を対象に、賃金は9月に3.4%引き上げられ、2014年7月にさらに2.2%上げられることになった。
労組側は9月に総選挙が迫るなかで政治家を味方につけ、インフレ率を上回る水準の賃上げでの合意に至った。
VWはまた、各従業員の企業年金プランに300ユーロを追加することを約束した。この労使協定は2015年2月28日まで有効となる。
IGメタルは今月、合計370万人の金属産業労働者およびエンジニアについても同様の賃上げに合意している。

今回、そして同様の賃上げ協定は、ドイツ人に消費を増やすことを促すことになる。これによってドイツの経済成長とユーロ圏の不均衡解消を支えることになると指摘されている。
また、労働コストが上がることは、ドイツの競争力を減じさせ、債務危機以降経済を立ち直らせることに苦しむ欧州の国々に公平な競争の環境を提供することになるとしている。

VW側は、欧州の厳しい市場環境や激しい国際競争を考慮すれば、我々は限界に挑んているとしている。なお、VWのドイツ市場での1~4月期では、販売が▲10.9%減、欧州では▲7.9%減と不況から前年比減少している。
米中で血気盛んなドイツ自動車勢は、世界では前年同期比増加させている。

日本の財界の宮田や奥田は竹中時代、日本の労務費コストが高すぎるとして、派遣業法を大々的に緩和させ、膨大な低賃金労働者を創出してきた。しかし、財界企業の現実はみんな海外に工場を移転してしまった。そのため、低賃金労働者のみが取り残され、長期のデフレ経済の原因を作り、さらには低賃金・不安定雇用ゆえに少子化も助長させてきた。ハゲタカ同様近視眼的にしか経済を見れず、そのブーメラン現象に行き着いている。
アベノミクス効果もこのままではブラックホールに陥ってしまうことから、安倍首相は、儲かった企業から賃上げしなさいと要請している。

あわせて読みたい