大問題VW(2) 排ガス不正 ゴルフは窒素酸化物大量だった
VWの低排ガス、低燃費、高出力、高トルクの4拍子のターボチャージャー付のダウンサイジングエンジン性能が、2008年開発来、現在世界各国で一番煩い環境性能である低排ガスの部分の検査において、意識して違法ソフトを使用し検査を受け、基準をクリアーしていたことがアメリカの環境保護局の検査で発覚、大問題となっている。
その対象車両も2009年型から2015年型に至り、環境基準については、当初から違法ソフトでクリアーしていたことが裏付けられている。
2018年までにトヨタを追い越せと販売台数の増加に懸命となったVW、トヨタの低燃費エンジンHVに対抗し2008年、燃料費高騰の中、ターボチャージャー付のダウンサイジングエンジンを開発し、低排ガス、低燃費、高出力、高トルクの4拍子揃った次世代エンジンとして実現させた。
なかでも燃料費が軽油で安価、高トルクが引き出させる直噴ディーゼルターボエンジンは、石畳や坂道の多い欧州では、エコカーの本命になっている。逆に言えば、それほど売れているということであるが、VWの努力でディーゼル車の最大の欠点であった排ガス、騒音までクリアーしたとされたことは画期的だった。
VWは、中国販売の急成長に2018年を待たずして2015年にはトヨタを追い越すと見られている。(ただ、その膨大な販売台数を伴う中国での成長は、2015年に入り中国経済の低迷から大ブレーキがかかっているが・・・。)
<問題の詳細>
今回の大問題は、ダウンサイジングのディーゼルターボ搭載車を、アメリカで販売するための基本検査において、排ガス検査時だけ排ガス(NOX=窒素酸化物)除去する触媒機能を大きく作用させて排ガス規制基準をクリアー、走行時は触媒機能を大きく作用させたままでは、出力やトルク・燃費などの性能が落ちるため、触媒機能を大きく落し、排ガスを検査時の基準より10~40倍撒き垂らしながら、すべての基準検査や性能表示の認可を受けていたもの。
それを可能にしたのが、エンジンや触媒機能などを調整する各種制御ソフト。VWは、制御ソフトを違法に書き換え、各検査段階で触媒機能を変えさせる違法ソフトを使用していたことがアメリカで発覚した。
VWのダウンサイジングの直噴ディーゼルターボエンジン搭載車の販売は、こうした違法ソフトにより可能だったのか、VWの経営体質そのものが問われる大問題となった。
そうしたことから、今回の問題は、米国より環境基準が厳しい欧州では、問題車の販売台数は米国より桁違いに多く、目を当てられないものとなる。
<不正行為認める>
ブルームバーグは19日、VWが米国の排気ガス規制に関する検査での不正行為を認めたと報じた。
巨額の制裁金に加え、刑事訴追を受ける可能性も出てきた。
VWとアウディ部門のディーゼルエンジン車は、当局による検査の時だけ排気ガスをコントロールする機能が、フル稼働するソフトウエアを搭載して販売されていた。
米環境保護局(EPA)によると、通常走行時の排気ガスは基準の10~40倍に達する。
EPAは、米国の大気浄化法への違反に対して司法省による刑事訴追につながり得ると説明。
EPAのシンシア・ジャイルズ氏によると、同局は1台当たり3万7500ドルの制裁金を科す可能性がある。対象車は48万2000台で、その場合、最大180億ドル(約2兆1600億円)となる。2009-15年型が対象。
ジャイルズ氏は「こうした仕掛けを車に搭載し、大気浄化規制を逃れることは違法であり、国民の健康を脅かすものだ」と指摘した。
VWは、発表文で調査に協力しているとした上で、それ以上コメントはできないとした。
EPAは、VWへの18日の書簡で、VWが規制逃れに向けたソフトウエアの搭載について認めたと指摘していた。
以上、ブルームバーグ
米国は、販売した問題車は、一般走行時、NOX基準値を大幅に超過しており、元々販売することができない車をVWは販売したと見做し、その販売価格そのものを制裁金にするようだ。
自動車業界そのものを揺さぶるものとなった。