トヨタ/自動ハンドル車 販売へ 自動ブレーキシステムの市販
トヨタ自動車は11日、高速道路で白線に沿って自動的にハンドルを切ったり、前を走る車と無線通信して加速・減速したりする運転支援システムを2010年代半ばに商品化すると発表した。
安全性の向上に加え、無駄な加減速を減らし、燃費改善や渋滞解消につなげる。
14日から東京都内で開かれるITS(高度道路交通システム)世界会議に出展する。
トヨタでは、高級車「レクサスLS」に採用している「自動ブレーキ」を、2015年を目標に10万円未満で発売、本格的な普及を図る。その後、ハンドルの自動操作機能も市販していく方針。
トヨタ自動車は、自動運転技術を利用した、高速道路(含む、自動車専用道路)における次世代の高度運転支援システム「オートメイテッド ハイウェイ ドライビング アシスト」(以下、AHDA)を開発した。
AHDAは、先行車両と無線通信しながら追従走行する「通信利用レーダークルーズコントロール」と全車速域で道路の白線などをセンサーで検出し、あらかじめ算出された最適なラインを走行するよう操舵を支援する「レーントレースコントロール(Lane Trace Control)」との連携により、安全運転の支援や運転負荷の軽減を行う。
トヨタは、運転の主役であるドライバーの意思を尊重し、クルマを操る楽しみを損なうことなく、安全・安心な移動手段を提供するため、高度運転支援システムの早期実用化を目指す。今回新開発したAHDAは、2010年代半ばを目標に、商品化する予定である。
なお、10月14日(月)から18日(金)まで開催の「第20回 ITS*2世界会議 東京2013」<主催:ITS世界会議東京2013 日本組織委員会>(以下、ITS世界会議)にAHDAを出展するとともに、10月15日(火)から首都高速道路で公道デモを実施する。
また、トヨタは、本年1月に米国ネバダ州で開催された「2013 International CES」に出展した実験車などを活用し、自動運転の研究を通して得られた先端要素技術や知見を利用することで、次世代の高度運転支援システムの早期実用化を推進していく。
<高速道路における高度運転支援システム(AHDA)>
通信利用レーダークルーズコントロール
先行車との車間距離の検知にミリ波レーダーを使用した従来のレーダークルーズコントロールに対し、「通信利用レーダークルーズコントロール」は、次世代ITS技術である車・車間通信技術(700MHz帯)も用い、先行車の加減速情報を利用することで、同時加減速、安定した追従走行など、より精緻に車間距離を制御する。また、不必要な加減速を低減することで、燃費向上や渋滞の解消などにも貢献する。
<レーントレースコントロール>
「レーントレースコントロール」は、自動運転技術を利用した全く新しいシステムで、カメラやミリ波レーダーの高性能化、制御ソフトの高度化などにより、あらかじめ適正な走行ラインを算出。そのラインに沿って走行するよう、ステアリングと駆動力、制動力を、全車速域で適切に制御する。
<自動運転技術の研究>
本年1月に米国ネバダ州で開催した「2013 International CES」で、統合安全コンセプトに基づいて研究中の自動運転技術の実験車を展示した。トヨタは、北米先端研究所(Toyota Research Institute of North America)を拠点に、交差点や分合流のある一般道も想定し、車両前方に向けたカメラによる信号機の認識や、最先端のセンサー群による車両や歩行者、障害物など周囲の状況判断を、自律走行可能な実験車を使って実施することで、より安全な経路を選択し走行するための様々な要素技術の研究を進めている。
トヨタは自動運転技術の研究を1990年代後半から進めており、公道試験についても、米国では安全に万全を期しながら、数年前から実施している。また国内でも、約2年前から次世代高度運転支援システムの公道試験を行っている。
トヨタは、これらの自動運転技術の研究を通じて得られた知見をもとに、「すべてのドライバーがあらゆる状況下で、熟練ドライバーのような運転能力を発揮できるよう、安全運転を支援すること」を目指し、ドライバーに最適な高度運転支援システムを提供することで、より高い安全性を実現し、モビリティ社会の究極の願いである「交通死傷者ゼロ」の実現に貢献する。
また、将来の超高齢化社会の到来を見据え、高齢者の認知・判断・操作を支援する技術開発にも活用し 、「高齢者もいきいきと暮らせるモビリティ社会の実現」を目指す。
さらには、渋滞による経済的損失を緩和できるような交通環境の提供、安定的な走行環境の提供によるCO2低減など、「快適な移動空間と有効な時間を提供するモビリティ社会の実現」も同時に目指していくとしている。