トヨタ スズキとの提携で1800万台の企業連合で新自動車時代に対応

トヨタが異業種との競争もにらんだ巨大連合づくりを進めている。

6日、スズキと環境技術などで包括的な業務提携を結ぶと正式発表した。
トヨタは、2014年に年間販売台数が1千万台を上回り、燃料電池車(FCV)など新技術の実用化で先頭を走る。
ただ、IT(情報技術)企業など異業種の参入により競争環境は様変わりし、「1800万台企業連合」で勝ち残りをめざす。
「スズキというチャレンジ精神あふれる会社と一緒に仕事をする機会をいただき、感謝している」。
トヨタの豊田章男社長は6日、提携の具体化に向けた覚書を交わしたことについてこう述べた。
両社は16年秋から協力に向けた協議を本格化させ、今後、安全技術やIT、商品・部品の補完などで提携内容を詰める。
トヨタは2000年代半ば、経営不振の米GMの保有株式を引き受ける形で、富士重工業やいすゞ自動車とそれぞれ資本提携した。
一方、2011年以降は、独BMWやマツダと相次ぎ協力。資本関係のない緩やかな「仲間づくり」(豊田社長)を行ってきた。
「グーグルやアップルといった新たなライバルが登場し、技術に加えて共感する仲間が必要だ」。
2016年11月、豊田社長は社内の会合で強調した。
危機感の背景には、電動化やインターネットに常時接続するコネクテッドカー(つながる車)の普及、ライドシェア(相乗り)の広がりがある。
トヨタは2017年3月期、過去最高の1兆700億円を研究開発に投じる。
日本企業では最高水準だが、独VWは年1兆5千億円超。相乗りの米ウーバーテクノロジーズは未上場ながら80億ドル(約9千億円)超を調達し、自動運転などに重点投資する。トヨタでも単独で全方位に目配りするのは難しい。
トヨタは、BMWとFCVの基幹システムを共同開発し、開発費の負担を減らす。
人口減で市場が縮む国内では、ダイハツを傘下に持つトヨタがスズキと組めば軽自動車の「消耗戦」(トヨタ幹部)から距離を置き、経営資源を成長市場に振り向けることができる。
「ルール作り」にも役立てる。
車の電子制御の規格などは欧州発が多かった。
トヨタ連合の年間販売台数はスズキ(約290万台)を加えると1800万台に達し、世界市場の約2割に達する。
スマホと車の連携技術では米フォードなどと組み、IT企業に対抗する。
「未来のモビリティー社会の実現に向けて協力する」。
豊田社長はこう強調する。
自動運転では、テスラやグーグル・アップルなど一部のIT企業が無人運転に注力するが、トヨタは「運転手を支援し交通事故を減らす」ことを目的としている。
車本来の走る楽しみを追求しつつ、環境・IT分野でも世界を先導できるか。1800万台連合が影響を及ぼす範囲は広い。
以上、日経新聞参照

スズキは、インドで約半分のシェアを握っており、今後も、経済成長が期待されるインドにあり、全自動運転車などへの投資は、図体が小さいだけに限られたものになる。
また、VWと資本業務提携していたものの、環境技術の共同研究も技術情報も渡さず、スズキはVWが所有するススギ株の買い取りを申し入れたものの、インド市場を持つスズキに対してVWは手放さず、裁判でやっと買取りを決着させた。
そうしたこともあり、この3年間営業利益を1800万円前後出しながら、借入金を増加させているのも実情だ。(アメリカ市場からも撤退している)。
今回の包括契約は、近い将来を見据えた双方の戦略に合致したものと見られる。

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