こども自動車「ダットサン・ベビイ」を再生/日産自動車

ダットサン・ベビイ日産自動車株式会社は、1964年から翌年にかけて「こどもの国 (所在地:神奈川県横浜市青葉区)」へ100台を寄贈した、こども自動車「ダットサン・ベビイ」の現存車1台を、本年の「こどもの国」開園50周年を機に再生し、同園の50周年記念イベント等への活用を開始。

併せて、「こどもの国」と協力し、同園の開園50周年にちなんだ写真展と、同車の展示イベントを日産グローバル本社ギャラリーにて3月28日より開催する。

今回再生した「ダットサン・ベビイ」は、1965年にオープンした「こどもの国」のために日産が専用に設計・開発し、100台寄贈した車両のうちの100号車にあたるクルマで、同園内に長年保存されていた車両で、当時日産は、車両の寄贈のみならず、自動車交通教育の教材提供、こども自動車専用走行コースの監修も併せて実施していた。

「ダットサン・ベビイ」は、「こどもの国」のグランドコンセプトの中で「こどもたちに本物の自動車交通教育を提供する」という役割を担った。当時、愛知機械工業株式会社から市販されていた200cc・2人乗りのユーティリティトラック「コニー・グッピー」をベースに専用設計し、こども用の自動車として、当時類をみない本格的な構造を持つ車両として誕生。

その特長は以下の通り。

・フロントにダブルウィッシュボーン形式を採用した、レーシングカーのような4輪独立サスペンション
・日本初の国産トルクコンバーター(トルコン)を実用化したメーカー(岡村製作所)製のトルコン付トランスミッション
・時速30km/hでカットオフするスピードリミッター
・当時の現実の交通法規要件に適合したランプ類
・スプリングを利用したハンドルのセルフリターン機構
・スポーツカーのデザイントレンドを巧みに取り入れた魅力的なスタイリング

今回、同車の再生を手掛けたのは、日産テクニカルセンター(NTC)に勤める研究開発部門の現役社員を中心に活動するボランティア組織「日産名車再生クラブ」。

同クラブは、かつての名車に採用した技術の伝承や自動車文化の継承・発信を目的に2006年の発足以来、毎年1~2台の歴史的車両を再生し続けており、この「ダットサン・ベビイ」は10台目の再生車両となる。

「ダットサン・ベビイ」の再生にあたって同クラブは、他の車両再生と同様に当時の仕様を綿密に調査し、劣化した部分を丁寧に再現。更に、各サプライヤーの協力も得ながら、休日での作業を9ヶ月以上続けて完成に至ったという。

今回再生した車両は、今後1年間の予定で「こどもの国」の50周年イベントなどで展示・活用されるとしている。

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