スカイラインGT-R=Q50オールージュ販売中止か/日産にしがみ付くゴーン

日産の凋落はスカイラインのテールランプを廃した時に決定していた。
日産は、スカイライン(海外名:インフィニティの『Q50』)をベースにした高性能コンセプトカー『Q50オールージュ』の市販化計画を中止したとレスポンスが報じている。
これは12月24日、自動車ジャーナリストのBertel Schmitt氏が、『Daily Kanban』に寄稿した中で明らかにしたものだという。
同氏が自身のFacebookで、GMの高級車ブランド、キャデラックの社長であり、元インフィニティのトップ、ヨハン・ダ・ネイシン氏(ゴーン氏と合わず転出)と交わしたやり取りを記事にして紹介している。それによると、ヨハン・ダ・ネイシン氏は、あくまで噂と断ったうえで、「日産層部が、Q50オールージュの市販化プロジェクトの中止を決めたようだ」と話したという。

Q50オールージュのパワートレインは、日産GT-Rベースの3.8リットル(排気量3799cc)V型6気筒ツインターボ。最大出力は568ps、最大トルクは61.2kgmを発生する。トランスミッションは7速。駆動方式は、前後トルクを50対50に配分するフルタイム4WD。0-96km/h加速4秒以下、最高速290km/hの性能を誇る。

ヨハン・ダ・ネイシン氏は、「以前の部下である日産の開発チームを、鼓舞したい。なぜなら、日産の開発スタッフも、Q50オールージュの市販化を強く望んでいたからだ」と明かしているという。
以上、レスポンス報道参照

ゴーンは、GT-RとバッティングすることになるQ50オールージュと判断したものと見られるが、スカイラインは日本人にとって伝説(レジェンド)の車。GT-Rにしても、スカイラインGT-Rとして開発され、後に独立したもの。今でもスカイラインGT-Rは、中古車市場で、当時の販売価格の倍以上のプレミアム価格で取引されている。

ゴーンが、そうした日産の技術者たちの伝統を破壊し、スカイラインの代名詞であるテールランプを消滅させたことにより、今やスカイラインはゴーンスカイラインであり昔の面影はない。また、売れてもいない。
セドリック・グロリアの高級車価格帯車をフーガ(海外名:インフィニティQ70)に名称変更するところまでは時代の流れだろうが、海外では、そのインフィニティの子分格であるQ50としてスカイラインを販売していることからも軽んじているというものだろう(海外ではベンツやBMWが数値だけで車種を変えるのを真似ている)。

合理主義者ゴーンが「スカイラインGT-R」の第2世代(5代目)を2002年8月=平成12年に打ち切ったことで、スカイラインはすでに終わっている。

技術の日産と呼ばれた日産であるが、技術向上面からもGT-Rを2007年12月から復活させている。価格帯もまったく異なるスカイライン(Q50)から完全に独立させて市販に踏み切った。技術の日産で幻となっていたGT-Rの復活は、パワートレインのすごさに技術の日産を再度表舞台に立たせることになった。
ゴーンは、日産の業績回復を糧に親会社のルノーのCEOに上り詰めたが、日産でも社長の地位を譲らず独裁政権を続け、今日の欧州経済の不景気でも、日産の業績向上も加算され、仏メーカーとしては1社だけ連結で勝組となっている。そうしたことから、ルノーの株主もゴーン降ろしに理由もなくCEOを続けさせている。
(東証や金融庁はルノーと日産が取引があり利益合反する別法人であるにもかかわらず、代表を兼ねているゴーンに対して、何一つ問題としない。チャンチャラおかしい)

<ゴーン独裁政権に見切りを付けるスタッフ>
<コストカッターから首切りカッターへ>
しかし、その独裁ぶりは、日産含むルノーのすべての手柄を自らに集中させ、問題は責任を取らせ、株主に対して自己PRばかりしているのが実態であり、優秀なスタッフは離れるばかりとなっている。

2014年9月、日産のチーフ・プランニング・オフィサー(CPLO、副社長)のアンディ・パーマー氏は、英アストンマーティンの最高経営責任者(CEO)に移った。
7月、高級車「インフィニティ」部門責任者のヨハン・ダ・ネイシン氏(元アウディ、米国トップ)がGMのキャデラック部門に移った。
3月、広報部門トップで執行役員だったサイモン・スプロウル氏が米テスラ・モーターズに移っている。
2013年11月、期中であるにもかかわらず、これまでのゴーン日産を支え続けた志賀俊之・最高執行責任者(COO)を副会長職に就任させ、一線から退任させた。これは前期決算の責任を期中で取らせたものと見られる。

昨年8月にはルノーの最高執行責任者(COO)のカルロス・タバレス氏とゴーン氏との間でその権限拡大をめぐり確執が表面化、タバレス氏はプジョーシトロエングループ(PSA)のCEOに移っている。

連結/百万円
12年3月期
13年3月期
14年3月期
15/3期予
売上高
9,409,026
9,629,574
10,482,520
10,800,000
営業利益
545,839
523,544
498,365
535,000
経常利益
535,090
529,320
527,189
620,000
当期利益
341,433
342,446
389,034
405,000

<販売不振も>
円安の効果が出ていない。14/3期の営業利益はドルベースではかなり下がっていることになる。
日産の日本での軽含む販売台数は11月までの累計で前年比▲0.2%減の631,590台となっており、軽含む乗用車の11月単月は▲14.4%減の36,868台となっている。三菱から供給を受け利益の少ないデイズなどOEM車の販売が14,581台あり、軽が売れても利益は限られている。すでにホンダにも大きく水をあけられている。
これまで回復してきた中国でも1~11月までは1.7%増の1,099,700台にとどまり、11月単月では▲11.8%減の116,200台となっている。
ただ、アメリカではQ50新型車の貢献もあり1~11月までの累計では11.5%増の1,269,577台販売されている。この効果が今期の業績を支える見通しとなっている。

ゴーンは、電気自動車が計画通り売れなかったところですでに終わっている。
ゴーン神話は剥落、賞味期限もとうに過ぎているが、スカイラインGT-R=Q50オールージュの販売が中止にでもなれば、日産にしがみ付くゴーンは単に弊害だけとなる(GT-Rは特別なスポーツ車としてすでに独立しており、Q50オールージュであり、高性能でもGT-Rからは当然は安く価格設定される見通し)。

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