11月 現代・起亜自動車の低迷

<低迷の現代・起亜自動車>
韓国経済を支える現代グループの現代と起亜自動車の販売台数は、日本のTVでも放映されていたように、同社の本拠地「蔚山工場」の輸出用自動車の係留地には、自動車が溢れており、売れていない。
中国での11月の販売は、昨年新工場を稼動させたものの前年同月比1%しか増加しなかった。海外全体では同比▲1.3%減少、韓国含む世界全体では▲2.8%減少した。
これまで、世界市場で、トントン拍子に伸ばしてきた韓国勢にあり、マイナスとは注目される事態となっている。

現代自動車の11月の国内販売台数は、前年同期比で▲11.9%減の5万4,302台だった。労働組合支部長選挙や休日で昨年11月より操業日数が少なかったことも影響したという。
起亜自動車の11月の販売台数は、同比▲12%減の3万8952台と大幅に落ち込んだ。
一方、韓国GM(14,100台)や双竜自動車(6,540台)は大幅に売上台数を伸ばしている。

燃費偽装問題で集団訴訟を米国と韓国で受けている現代自動車は、韓国では雨漏り問題も発生させたことから、その影響を受け続けているものと思われる。また、隣国の大市場である中国も、こうした問題はいち早く、ケチョンパにネットで拡散されたことから、その影響を受けているものと見られる。

米国での販売も、燃費虚偽問題のほか、ウォン高の影響もあり低迷している。
景気回復中の米国での1~11月までの累計販売台数は、日米の自動車メーカー各社が大きく売上台数を伸ばすなか、2%しか増加していない。(なお、1~11月の販売台数は、これまでの増加もあり、国内が590,705台、海外が3,730,432台の計4,321,137台となり、前年同期比で7.7%増加させている。)

同社は、これまで、ウォン安などを武器に低価格車で、世界販売台数を急増させてきたが、今やウォン高振れ、米国や中国などの海外においては、景気回復および所得増により、より信頼性の高い車・より環境を意識した燃費効率車・高級車へニーズが変化している。
同社の場合、新興国では、まだノビシロはあるものの、既に現地生産が主流となっており、競争も激しく、市場の販売数量の絶対数も限られ、今後とも同社の低迷は続くものと見られる。

元々、世界における安価な自動車市場は日本車の領域であったが、日本車は品質も兼ね備えていた。それまでの真似ばかりの技術では、技術蓄積も限られており、それが、温暖化に伴う環境性能重視の世界的な消費者の思考に対応できていない姿を露見しているようだ。

現代車は11月、米の技術開発会社と提携して、GDCIの新型エンジンを開発し、燃費効率を25%アップさせると報道されていた。しかし、その燃費は、今のHV車全盛の時世に通用するものでない。燃費は1リットル当たり11.9キロメートル(現在のソナタ)から14.9キロメートルまで改善することになるというものだが、韓国ではこれまた大きく報道されていた。

韓国のマスコミは、現代車の低迷の原因を、高賃金の労働組合にあると指摘している。しかし、今や海外での自動車生産が過半以上を占めている。サムスン従業員より大幅な高所得となっている組合はストばかりしているが、そうしたことが幾分改善され、現代車の価格がもっと下がったところで、今後、世界は、景気回復局面に至ることから、増加する中流層に対しては、価格だけで台数を伸ばすことは、あまり期待できないものとなる。
それより、デザインは今では独のカーデザイナーに依頼したりしており問題ないだろうが、品質と環境=燃費性能は避けて通れない問題だ。

韓国は、内国経済の浮揚策のため、国内企業による内製化を進めている。しかし、さらに、技術蓄積のない自動車部品メーカーが参戦することになる。(これまで、日本から大量の自動車部品を輸入していたが、国内自動車部品メーカーの振興と円に対するウォン高により、輸入を大幅に減らしている。)

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